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消えぬ心のつめ跡 新型インフル国内初感染から1年(産経新聞)

 新型インフルエンザの国内初感染者が神戸市で確認されてから、16日で丸1年となる。国の行動計画は「強毒型」を想定していたため、兵庫県、神戸市はパニックと風評被害の中、学校の臨時休校や施設の閉鎖など、さまざまな感染防止に向けた対応を迫られた。結果的に被害は予想を大幅に下回ったが、初の感染者が確認された県立高校では今も複数の生徒が心のケアを受けるなど、“インフルショック”の爪痕(つめあと)は消えない。

●卒業まで終わらない

 「今も、心に傷を抱えている生徒がいる。1年たっても、『終わった』とはとても思えない」

 当時3年の男子生徒が初の国内感染者とされた県立県立神戸高校(神戸市灘区)の岡野幸弘校長(58)は、硬い表情を崩さずに語った。

 感染した生徒たちはカメラの放列の中、防護服姿の職員によって病院へ運ばれた。岡野校長は「『自分はバイキンか』とショックを受けたり、『自分のせいで学校が止まってしまった』と自分を責める生徒もいた。当時の生徒たち全員が無事卒業するまでは終わらない」と強調した。

 神戸高校の翌日、生徒の感染が確認された県立兵庫高校(同市長田区)では昨年来、校舎内10カ所に設置した消毒液での感染予防が習慣となった。今月14日朝、江本博明校長(59)は全生徒に「私たちは騒動を乗り越えたが、克服したのではない。いつ健康や命を脅かす事態が発生しないともかぎらない」と引き続き注意を呼びかけた。

 「たとえ強毒性のインフルエンザが発生しても、助け合い知恵で工夫できる兵庫高校である限り、乗り越えられると信じている」

●「過剰反応」

 厚労省によると、この1年間で日本では約2068万人が新型インフルエンザに感染、198人が死亡した。通常の季節性インフルに毎年約1千万人が感染し、1万人が死亡するとされるのに比べると、被害は明らかに少ない。

 神戸市の矢田立郎市長は「思い返すのも嫌」と1年前を渋い顔で振り返った。「過剰反応だったと言わざるを得ない。経験を反省材料に、日本全体でとらえ方を考えるべきだ」。兵庫県の井戸敏三知事も「あの経験を踏まえ独自の対応計画は作ったが、今後は、強毒型の場合にきちんと運用できるか検証が必要」と強調した。想定と現実の大きなギャップが、そのまま混乱の大きさを象徴する。

●団結して乗り越える

 だが、新型インフルの混乱は今も続く。製造が遅れたワクチンが供給され始めたのは昨年10月下旬。感染の中心となった小中高校生に届くころにはピークが過ぎており、医療機関は現在、大量の在庫を抱えている。神戸市保健福祉局予防衛生課の担当者は「発生直後から今まで、国の方針のブレのあらゆるつけが、最前線に立たされた市町村にきている」とこぼす。

 「阪神大震災以来の危機」ともいわれた神戸の新型インフル騒動では、主要産業の観光も大きな被害を受けた。キャンセル客が約2万人、損害は4億円にのぼったという有馬温泉では、初感染確認直後から、観光客を取り戻そうと「清潔・安心」PRの清掃活動や、旅館福袋など知恵を絞ったキャンペーンを展開。有馬温泉観光協会の當谷正幸会長は「昨年秋までには客足を取り戻せた。苦楽はみんなで乗り越えるんだという連帯感が、一層強くなった」と胸を張る。

 17日には「LOVE有馬クリーンアップ」と銘打ち、一般客も巻き込んだ日帰り入浴付きの清掃イベントを実施する。當谷会長は「どんな危機にも揺るがないブランドを、みんなで作り上げていきたい」と話した。

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by qfgzmawpv5 | 2010-05-18 21:02
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